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スムコト デザイン

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2014年 03月 09日

やねとひと

昨日、屋根葺きの現場へ見学をさせてもらいました。
筑後市にある[サンシカ]という建物の改修工事で、大分県の奥日田美建さんが葺き替えをされていました。

6年振りに再会した井手さん、三苫親方はじめ職人の方々は、快く素人を足場の上に招いてくださり、屋根をつくる一本一本の葦を間近に見て、職人さんの手になじむ道具たちに触れながら、かさかさとヨシがたてる音をBGMに屋根のお話を聞くことができました。

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この葦は、有明海で育ち、刈り取られたヨシ。
「今年の有明海のヨシはいい。熊本のカヤは、雪で倒れてダメだった。」とのこと。
身の回りの素材が住まいを作る、ということは、食べ物と同じでそれが育つまでの自然環境が大きく関わってきます。
台風などで稲がダメになると、いい藁もとれずに丈夫な縄が編めない。
竹は、ほんの数年でも山の整備をしないと、伐りに行くのも一苦労。
丸太だって、頃合いで間伐しなければ、いい太さの材に出会えない。
カヤの刈り取り作業は天気のいい日でないとできない。
そういう風にして調達された素材が、ひとの手で建物に変わっていく。
自然と住まいとひととが直結した暮らしだったんだ、ということ。

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我が家も30年前までは、葦葺き屋根。
今思い返せば、あの家も、向こうの家も、あそこにあった建物も・・・ まだ近所には葺き屋根の家が残っていました。
でもそれもほんの30年の間に、ほとんど無くなってしまいました。
資材価格、生産体制、職人の数、生活スタイル、好み、デザイン、法律・・・
いろんな変化が、まちなみをつくる建物の変化に影響してきます。

変化するのは時代の流れ。
ただ、建物をつくる側として、それを、選択肢を狭めるという意味にしてはいけないな、と思います。
法律的な問題をクリアするのはたしかに限界があるとは思うのですが、
カヤ葺きにしたい、手刻みにしたい、土壁にしたい、という要望が出たときに、その引き出しを自分の中に持っておくことができるように、いろんな職人さんに出会いたい、見ておきたい、知りたい、と思っています。

というわけで、いろんな現場に顔を出すことがありますが、
ぜひ受け入れていただくよう、よろしくおねがいいたします(笑)

やねとひと_b0193544_10105324.jpg


by sumukoto | 2014-03-09 10:16 | たてもののこと


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